【公開終了】脚本期間限定公開 「となりの青いシバ」

1/23~2/23までの間、昨年夏に上演した新作「となりの青いシバ」の脚本を公開いたします。
新作オーディションに向け、多くの人にanonetの作品に触れていただき、作品の方向性や、扱う言葉の感覚に対し、少しでも興味を持っていただいたうえでご参加をいただければと思います。


脚本の公開に寄せて

個人的なニュースや、個人的な感情の浮き沈み。個人的な事件は毎日山ほど起きるのに、個人的だからこそ、他者に共感を得られるかはわからないし、それをあえて他者に共有し、分かち合おうとするのはなかなか骨の折れることだと思っています。私たちはひとつの個として生きているので、他者と交わろうと思えば摩擦や衝突が生じますし、それぞれの「個人的」なことがぶつかり合って、うまくいったり、うまくいかなかったりするでしょう。
「となりの青いシバ」は、そういう意味で言うと、見ることがただ単純に苦痛に感じる人もいる、俗にいう「人を選ぶ超個人的な作品」であるという自負があります。誰かを自分の思うままにしたい、自分の期待に答えてほしい。愛情なのか、独占欲なのか、寂しさなのか、ただの暴力なのか。見る人によって捉えようは異なっていいと思っています。殴る/蹴るよりも、時に言葉や関係性というものは、人を追い詰めますし、人を救いもして、単純な言葉ほど伝わりづらく、相手が受け取ってくれるかは、どれだけ丁寧に言葉や時間を重ねても、ちょっとしたボタンの掛け違いで雪崩れたりします。
どうすればよかったのかを後悔する瞬間は何度でも訪れますが、自分とほど近くにいる他人のことを大切にしていきたい。できる限り、自分に向いている方法で。そう考えながら書いた作品です。
恋人、友人、夫婦、パートナー。対として生きていくことが難しい、と感じる人にも、すでに誰か、かけがえのない相手がいる人にも、ぜひご覧いただきたいと思います。

ヒラノ ライセ


この作品は、2人の女性の生活や友情を通して、anonetのテーマである「あの日飲み込んだ言葉の発露」をがっつり丁寧に描いているので、anonet初めましての人がどういうユニットなのか感じていただきやすいものになっているかなと思っています。
ですが私にとってこの作品は、とある実体験(当事者ではないのですが)とリンクして考えてしまって、最初読んだときにフラットにこのお話と向き合うことが難しかったのを覚えています。
なのでこの公演をやる当時はなるべくリンクして考えないように、この作品のテーマである『離れること』についてだけ考え読んでいました。
今、実体験のことも思い出しながら読み返すと、『離れること』とは違う、大切なことが水面下で描かれているんじゃないかな、と気付かされました。
『離れること』だけでは孤独になってしまうから。
もしも私のようにシバ・えっちゃんの状態に共感したり実体験と重ねてしまう人がいるなら、この作品を何度も読んで『離れること』以外の選択肢を見つけてもらえると、私は嬉しいです。

ノナカ モヱリ


anonet

都内を中心に活動する、演劇を軸としたネットワークの総称

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