WORKS

2022/08/06 (土) ~ 2022/08/11 (木)
@デザインフェスタギャラリー原宿 EAST 303

私は、私なりにうまく、普通に、そこらへんにいる人と同じような感じで、なんとなくこの世を生きていけてるような気がしていました。
つい最近、高校から仲がよかったえっちゃんが結婚して、子供ができるまでは。
えっちゃんとは、まあ、いわゆる「陰キャ」同士、放課後にカラオケに行ってアニソンを歌いまくって喉を枯らしたり、お金を貯めて夜行バスに乗ってコミケに行ったり、好きな漫画の話とか、映画とか、そういうので盛り上がって、終電を逃してお互いの家に泊まったり。
私たちはなんとなく、このまま死ぬまでこうなんじゃない?って言い合ったり。
上京して、社会人になって、コミケにも行かなくなって、体力的にオールもキツくて、終電の時間をちゃんと守るようになって、会う頻度も徐々に減って。私は仕事をやめて、久しぶりにご飯をしたえっちゃんは、まるで私の知ってるえっちゃんじゃなかった。
えっちゃん、なんで普通になっちゃうの。


孤独と執着と、そこはかとない不安と、自分ではない誰かへの羨ましさと、
ちっちゃな自尊心のサラダボウルみたいな部屋で。
あなたと、きちんと離れるための話。

・出演
ノナカモヱリ(anonet)
小池舞(オフィス・イブ)
増本聖
(山平里穂、二ツ森恵美(時々、かたつむり/牡丹茶房)、小松有彩)

・協力
飯山真衣、佐藤めぐみ、加藤舞美、Totty(劇団よいどれ☆プリン体)

1/11~2/11までの間、anoent vol.0.5として上演をした「#まわるミツバチ」の脚本を公開いたします。

前身となるユニットで上演した「ミツバチ」に改稿、追加ページを加えた作品となっています。
新作オーディションに向け、多くの人にanonetの作品に触れていただき、作品の方向性や、扱う言葉の感覚に対し、少しでも興味を持っていただいたうえでご参加をいただければと思います。

脚本の公開に寄せて

再演をするに値する作品に昇華しなければならない、というプレッシャーを抱えながらも、あらゆる面において、当時の自分から今の自分の「書きたいもの」というのはそんなに変わらないんだなあ、ということを改めて認識させられた作品となっています。
脚本を書く、ということに正直いまだに全然慣れておらず、前進となる「ミツバチ」に至っても、まともに書いた脚本としては2作品目程度のものなので(上演をした、という実績において)粗削りな部分も多く、役が都合よく「書きたいもの」に動かされてしまっているな、という後悔がありました。
「ミツバチ」を「#まわるミツバチ」としてリビルドするにあたって、もともとは「家族」という集合体に対する懐疑的な思いから創作が始まっており、参考文献にも主に「家族」というものへの再考、といった視点からの文献が並んでいました。今回、新たに参考にした書籍として『生物はなぜ死ぬのか』(小林武彦著)といった、生物としての「死ぬこと」を捉えた視点が増えており、特に加筆を加えた部分はそういった、「死ぬこと」が、はたして「家族」といった集合体にもたらすものはなにか、といったことを重点に置いているように思えています。
そういった視点を加えることで、前回は動かされるままだった「中山さん」に至ってはその行動原理や、主張といったものが表出し、アサコ、タマキ、ミチをめぐる三人の関係性にも裏側から一役添えているのではないかな、と振り返っています。
家族という集合体は、なかなかに面倒で、切っても切り離せず、とはいえ、作り上げるのにも一苦労するやっかいな代物です。なりたくてもなれない人もいれば、なりたくなったわけじゃねーぞと辛酸を舐める人もいるでしょう。どちらの人にも寄り添える作品になっていれば幸いです。

ヒラノ ライセ


『家族』とは、生まれて一番最初に誰もが属する最小のコミュニティです。 このお話は、家族というコミュニティを、「強要されたもの」と「共有を望んだもの」の2つを通して、家族になるとはどういうことかを考えた作品だと思っています。 出てくる人たちはみんな、色んな思いと向き合い自分なりの言葉を発露していくので、簡単にいえば「めんどくさい人たち」ばかりですが、そのめんどくさい姿すら愛らしく感じていただけたら嬉しいです。 お楽しみに!

ノナカ モヱリ

2022/04/29 (金) ~ 2022/05/01 (日)
@新宿眼科画廊 スペース地下
日雇いバイトで食いつなぐミチと、一般事務の契約社員として恵比寿で働くアサコ。
二人は高校時代からの親友。
そして、ふとしたきっかけで知り合った男性、タマキくんを「シェア」する関係でもある。
恋人でもなければ、友人でも、セックスフレンドでもない。
どう言う関係なんだ、と問われれば、「パートナーシップ」だなんて笑って答えるけれど。
同じくして、高田馬場の実家から飛び出すように香川に都落ちして六年、 父親が再婚して以来、一度も家族と連絡を取っていなかったちなみのもとに、父親の訃報が届く。
別になくたって生きていけやするけど、あったらあったで手放し難いもの。
舞台上をLINEとTwitterと人が交差し、人と人の関係が錯綜する、
ネットワークの中でもがく、ミツバチたちの話。 家族と他人の、切っても切れない因果の話。
たぶん、ずっと、長い間、私は家族についての話をしたかったんだと思います。
まあ、おせーよ、って話なんですけどね。 


出演

ノナカモヱリ(anonet)
宮内萌々花
河西凜
三神健悟(劇団よいどれ☆プリン体/もんしろ)
末盛鮎
増本聖
加藤舞美

舞台監督:花房青也
照明:奥田悟史(劇団ミックスドッグス)
撮影:泉キリア
演出助手:藪内明(劇団「やぶ〜ぶ〜」)
協力:飯山真衣、いぜるい~あ、HUMAN ERROR、Takujiクリエイト


2/16〜3/2までの期間、
前身となるユニット「ドレスダウンの女」で上演した「ミツバチ」の脚本を公開します。
4月に大幅な改変のうえ、再演を予定していますので、この機会により多くの方にanonetの作品に触れてもらいたいです。


脚本の公開に寄せて

家族、というものについて、都度考える機会があります。たとえば、ここに犬がいるとします。犬に「母」という役割をあて、猫をつれてきて、猫に「父」という役割をあてて、そこにヒトを連れてきて、「子供」という役割をあててみる。さて、この種族混合チームは、「家族」というチームの構成条件を果たすのでしょうか。

都がパートナーシップ制度に対するパブリックコメントを募集する旨を交付し、恋愛リアリティショーでは結婚を前提としたカップルの成立を提供し、ソロ活、おひとりさまウエディングなどといった単身でも生きていく社会が肯定されるいま、「ミツバチ」という作品はふたつの「家族になりたいひとたちの話」を並行して描いた作品になります。

他人と他人が連れ添うのに、「家族」というチーム構成はどうにも形式的で、それでいて、どうにも魅力的で、どうにも、近寄りがたく、離れがたい。イヌネコヒトが家族と呼べるのか、なんとも主語のでかい話ではありますが、結局のところわたしたちは他人同士なので、寄り添いあうには種族を超える並みの馬力がいるんじゃなかろうか、などと考えたりもしつつ。

ご一読いただけますと幸いです。そして、願わくば4月にお会いできますように。

ヒラノライセ


相手に向き合って愛することや誰かと繋がり続けることって、私からしたら苦しくてとても怖いことだと思っていて。

愛は目に見えるものではないし、

恋愛だけじゃない色んな愛が世の中に溢れかえって、これが本当に愛なのかわからなくなるし、

愛したいほど大切なのに一歩間違えたら傷つけることになるから。

でも、ここに出てくる人たちは不器用だけれど愛することについて考え続けている。

それぞれの考え方で色んな方向から、傷つき傷つけながらもそれでもぶつかって。

だから共感しきれなくても、一人ひとりの登場人物が愛おしく感じられると思います。

ノナカモヱリ


公開は終了しました